老人ホームの高齢者虐待
高齢者虐待って何?
高齢者虐待とは、家族や、社会福祉施設・介護サービスの従事者等が行う以下の行為です。
- 身体的虐待
暴力的行為によって身体に傷やアザ、痛みを与える行為や外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為 - 心理的虐待
脅しや侮辱などの言葉や態度、無視、嫌がらせ等によって精神的に苦痛を与えること。 - 性的虐待
本人が同意していない、性的な行為やその強要 - 経済的虐待
本人の合意なしに財産や金銭を使用し、又は本人が希望する金銭の使用を理由なく制限すること。 - 介護・世話の放棄・放任
必要な介護サービスの利用を妨げる、世話をしない等により、高齢者の生活環境や身体的・精神的状態を悪化させること。
老人ホームを選ぶ際に
老人ホームの職員等による虐待は許されるものではなく、その防止に当たっては、介護サービス事業者が組織として、従事者等の意識や介護技術の向上、ストレス緩和、労働環境の整備などに取り組んでいくことが大切です。
法律(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)では、高齢者虐待防止のための職員研修の実施や苦情処理の体制整備等が、介護サービス事業者に義務付けられています。
有料老人ホームを選ぶ際には、研修の実施状況や利用者・家族からの苦情や相談をどのように受けているかなど、事業者としての取組姿勢についても確認しておくとよいでしょう。
身体拘束について
ベッドや車いすからの転落防止等のために、入居者をベッド柵で囲んだり、車いすにベルトで固定したりするなどの身体拘束は、「緊急やむを得ない場合」を除き高齢者虐待に該当する行為と考えられます。
「緊急やむを得ない場合」とは、以下の3要件すべてを満たす場合に限られます。その判断は、老人ホーム関係者が幅広く参加したカンファレンスで行うことが必要です。
- 切迫性
利用者本人又は他の利用者等の生命又は身体が危険にさらされる危険性が著しく高いこと。 - 非代替性
身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと。 - 一時性
身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること。
身体拘束を行う場合、老人ホームからの十分な説明と、入居者本人や家族の理解が必要となります。また、老人ホーム職員は常に観察、記録、再検討し、これらの要件に該当しなくなったときは直ちに拘束を解除しなければならないものです。
老人ホームで虐待を受けてしまったら?
有料老人ホームでの虐待や不適切なケアについては、気付いたときにすぐ、職員に説明を求めたり、施設の苦情対応窓口などに相談したりすることも大切です。
なお、それでも解決が図られない場合は、老人ホームがある区市町村の高齢福祉主管課などにご連絡ください。

関連記事
-
-
老人ホームにおける日常的な医療的ケアへの対応
たんの吸引や経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)、中心静脈栄養など日常的に医療的ケアが必
-
-
未届け有料老人ホームに注意!
「高齢者向け賃貸住宅でヘルパーが24時間お世話します」といったような案内をしているにも関わら
-
-
老人ホームで怪我をしてしまったら
老人ホームに入居中の方が転倒して怪我をしましたような場合はどうすればよいでしょう。老人ホーム
-
-
ホームでの看取りについて
老人ホームには高齢になってから入居するため、選んだ老人ホームが終のすみかとなることもあります
-
-
あなたに合ったサービス計画(ケアプラン)
有料老人ホームで介護を受ける際、介護に関する専門知識を持ったケアマネジャーによってサービス計
- PREV
- 認知症と老人ホーム
- NEXT
- 老人ホームで怪我をしてしまったら