老人ホームの探し方 ステップ2
老人ホームの情報を収集しましょう
希望をまとめたら、その希望に合う老人ホームの情報収集を始めましょう。どんなに気に入ったとしても、たった一つの老人ホームだけを見て入居を決めることはせずに、複数の老人ホームの情報を集め、比較検討することが大切です。
それぞれの老人ホームがパンフレットやインターネットのホームページなどで情報を公開しています。良い老人ホームほど、情報を公開し、透明性の高い経営をしています。十分に情報収集をして、満足いく選択をしましょう。
老人ホームの情報収集ポイントは次の通りです。
老人ホームを選ぶためのチェックリスト
基本情報、立地、周辺環境
- 老人ホームや運営主体の名称・所在地
- 類型・権利形態・支払方式
同じ権利形態・支払方式でも、ホームによって仕組みが違うので、内容の確認が必要です。 - 公共交通機関が近くにあるか
- 立地が入居希望者の好みや趣味に合っているか
- 近くに生活に便利な商店や施設などがあるか
- 家族や友人が訪ねやすいか
運営方針、入居状況・退去状況
自立の方から要介護状態の方まで入居可能と表示されていても、実際は要介護の方が多いという老人ホームもあります。
退去者の人数はどうでしょうか。どのような理由で退去しているのでしょうか。1年間に何人も退去しているような老人ホームは何か問題がある場合もあるので注意が必要です。
- 老人ホームの運営方針
- 老人ホームの雰囲気
- 入居時要件
入居時「自立」、「要介護」、「要支援・要介護」、「自立・要支援・要介護」のどれか、年齢による要件など - 退去要件
入院時の契約の取扱い・老人ホームからの契約解除の要件 - 入居者の状況
要介護度、年齢、性別など - 介護が必要な人がどの程度入居しているか
- 介護が必要な人がどのように過ごしているか
- 入居率
- 過去1年間の退去者数とその退去先・退去理由
経営状態や保険加入・保全措置の状況
万が一老人ホームが倒産した場合、そこから退去せざるを得なくなる場合や、未償却の前払金等が返還されない危険性もあります。
- 経営母体の主な事業
- 決算書や財務諸表は公開されているか
- 事故等に備えて、損害保険に加入しているか
- 前払金の保全はされているか
金融機関による保証・信託、公益社団法人全国有料老人ホーム協会の入居者生活保証制度など、いくつかの方法があります。
老人ホームの経営状態のチェック方法
老人ホームの入居率はどの程度か、空室が目立つようなことはないか、スタッフが平均何年間勤務しているかの定着状況などが経営状態をチェックする一つの目安となります。事業者が複数の老人ホームを経営している場合、入居を考えている老人ホームだけでなく、できれば各老人ホームについて確認するとよいでしょう。途中で経営者が変わっていることもあるので、その場合には理由を聞いてみましょう。不明な点があれば、スタッフに遠慮せずに説明を求めることも必要です。自信を持って運営している老人ホームは、赤字経営等、老人ホームにとって不利になるようなことでもきちんと説明してくれます。
また、事業者は、有料老人ホームだけを経営しているとは限りません。事業者の主要な事業を確認し、財務諸表などの経営情報の公表を求め、その事業者の事業全体の経営が軌道にのっているか確認できると良いでしょう。財務諸表などの経営情報については専門家(公認会計士など)に相談するのもよいでしょう。なお、公益社団法人全国有料老人ホーム協会では、加盟ホームの決算書等の閲覧が可能です。参考にするのもよいでしょう。
居室・共用設備・配置レイアウト
居室や共用設備などの生活の場を確認しましょう。ご本人の健康状態、希望の生活スタイルやニーズに合わせて選択することが必要です。また、本当に必要な設備は何かをよく考えて選択することが必要です。
要介護設定を受けていない自立の方も入居できる老人ホームには、居室面積が40平方メートル以上のところあります。ただし、その分費用も高額になります。主に要介護者を対象にした居室の場合、居室面積は13~18平方メートル前後が中心で、介護が提供しやすい設計になっています。
- 個室のみか、相部屋もあるのか
- 居室は家具を持ち込めるだけの広さがあるか
- 居室は、車いすを利用している場合などに動き回るのに十分な広さがあるか
- 入居者にとって必要な設備が居室内にあるか
- トイレ
- 浴室
- 洗面台
- 介護用ベッド
- 冷暖房
- 電話回線
- テレビ回線
- 緊急呼出装置(ナースコール)
- 車いすや歩行器などの福祉用具は準備されているか
- 介護が必要となった場合や認知症が進行した場合、介護度が重くなった場合などに居室の移動があるか
- 居室を移動した場合の契約はどうなるのか
居室移動に伴う利用料金や居室仕様等の変更があるか - 介護居室の数や広さ
- 浴室の状況
大浴槽/個浴/機械浴 - 共用設備の状況
共用トイレ/食堂の設備/機能訓練室など - 施設内の段差の有無、廊下の広さや手すりの有無など
- 食堂やロビーの居心地
- 避難経路や非常口等
- スプリンクラーの設置
介護サービス
老人ホームで受けられる介護サービスには、食事介助、入浴介助、排せつ介助などがあります。介護付有料老人ホームでは、原則として特定施設入居者生活介護の基本料金内で受けられますが、別途追加費用が必要な個別選択サービスもあります。住宅型有料老人ホームでは、原則として別途訪問介護などの契約が必要です。それぞれの介護サービスについての考え方や方法なども、老人ホームによって様々です。
- サービス計画(ケアプラン)がどのように作成されるか
- 基本サービスとなっているのはどのようなサービスで、どの程度の頻度か
- 個別選択サービスとなっているのはどのようなサービスで、追加費用は必要か
- 上乗せ介護サービス費の有無
- サービス提供に当たっての考え方や方法
- トイレの誘導やおむつ交換はどのようにしているのか(定時・随時)
- ポータブルトイレを使うとすればどのような場合か
- 嚥下状況に合わせた調理方法の工夫はあるか
- 車いすは個々に合ったものを使用しているのか
- 入浴は個々の希望に合わせて利用できるか(週当たり回数・追加料金の有無)
- 認知症ケアに対して特に留意している点は何か
- 認知症ケアなどのスタッフの研修や勉強会の実施や頻度
- 自立入居者が病気やけがなどで一時的に介護が必要になった場合、どのように介護サービスを受けられるか。また、どこで介護を受けられるか
自分の居室か/別室か - 日中、夜間の見守りはどのような体制・人員配置か
- 病院への送迎・付き添い
協力医療機関/それ以外の医療機 - 関看取りに対応できるか
- 看取りに対するホームの考え方・実績
- 看取りにあたり医療機関や訪問看護との連携をどのように行っているか
生活サービス
生活サービスとは、居室の清掃、洗濯、リネンの交換、買い物代行、郵便物や配達物の受付・管理、各種手続代行などのサービスのことです。
- 基本サービスとなっているのはどのようなサービスで、どの程度の頻度か
- 個別選択サービスとなっているのはどのようなサービスで、追加費用は必要か
- 自立入居者の生活サポート費
食事サービス
食事に対する考え方や好みは人それぞれなので、入居者本人の希望に合う老人ホームを選択することが大切です。施設見学時に予約をすれば試食が可能な老人ホームも増えています。
- 選択メニューがあるか
- 健康上の理由で通常の食事ができない入居者のための対応(糖尿病対応食や流動食など)が可能か、そのための追加料金は必要か
- 食事をキャンセルする場合の手続・返金内容
健康管理サービス・医療的ケア
基本的に、老人ホーム内に医師は常駐しておらず、老人ホーム内で対応できる医療的ケアは限られています。今は元気でも入居後に必要となることもあるため、老人ホーム内で対応可能な医療的ケアを確認しましょう。
- バイタルチェック(検温・血圧測定など)は希望すればいつでも受けられるのか
- 定期的な健康相談の曜日や回数
- 年2回の健康診断
- 服薬支援・管理方法
- 老人ホーム内で対応可能な医療的ケアはどのようなものか
医療的ケアができる職員は何人いるのか - 認知症が疑われる場合の診断や治療、また、その後の生活支援についての医療との連携
協力医療機関
協力医療機関とは、老人ホームと協力関係にあり、必要な時に迅速に連携がとれる医療機関です。医療保険を利用して協力医療機関を受診することができます。
- 協力医療機関名
- 所在地、老人ホームからの距離
- 協力の内容
診療科目、日常的な連携の内容、対象者 - 医療行為を受ける際の費用負担
- 主治医がいる場合、主治医との連携をどのようにとれるか
- 必要に応じて専門医療機関への紹介がされているか
相談窓口、運営懇談会
老人ホームでの暮らしは、入居者本人や家族が一緒になって作りあげていくものです。快適に暮らし続けるためには、老人ホームがどのように入居者の声やトラブルに対応しているかも重要なポイントです。しっかり確認しておく必要があります。
- 運営懇談会等の入居者や家族の声をくみ上げる仕組みがあるか
- 運営懇談会は年に何回開催されるのか
- 万一トラブルがあったときの苦情対応窓口や対応方法がきちんと決まっているか
行事、サークル・レクリエーション(アクティビティ)
行事、サークル・レクリエーション活動は、ホームでの生活に楽しさや彩りを添えてくれます。
- 自分に合ったサークル活動があるのか、ない場合は作ることができるか
- 日帰り旅行などの年間行事はどうなっているか
- 要支援・要介護状態でも参加可能なものがあるか
- アクティビティなどの参加は自由にできるか

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